高次脳機能障害に関するQ&A

高次脳機能障害に関するQ&A

Q高次脳機能障害では,どのような等級認定が考えられますか?

A

 高次脳機能障害で考えられる後遺障害の等級は,基本的には,1級~3級,5級,7級及び9級です。

 また,各等級の認定基準及び補足的な考え方は次のとおりです。

 

1 別表第1・第1級

⑴ 認定基準

 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,常に介護を要するもの

⑵ 補足的な考え方

 身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために,生活維持に必要な身の回りの動作に全面的介護を要するもの

 

2 別表第1・第2級

⑴ 認定基準

 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,随時介護を要するもの

⑵ 補足的な考え方

 著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって,1人で外出することができず,日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排せつ,食事などの活動を行うことができても,生命維持に必要な身辺動作に,家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの

 

3 別表第2・第3級

⑴ 認定基準

 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの

⑵ 補足的な考え方

 自宅周辺を1人で外出できるなど,日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また,声掛けや,介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力,新しいことを学習する能力,障害の自己認識,円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって,一般就労が全くできないか,困難なもの

 

4 別表第2・第5級

⑴ 認定基準

 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

⑵ 補足的な考え方

 単純くり返し作業などに限定すれば,一般就労も可能。ただし,新しい作業を学習できなかったり,環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため,一般人に比較して作業能力が著しく制限されており,就労の維持には,職場の理解と援助を欠かすことができないもの

 

5 別表第2・第7級

⑴ 認定基準

 神経系統の機能又は精神に障害を残し,軽易な労務以外に労務に服することができないもの

⑵ 補足的な考え方

 一般就労を維持できるが,作業の手順が悪い,約束を忘れる,ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの

 

6 別表第2・第9級

⑴ 認定基準

 神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

⑵ 補足的な考え方

 一般就労を維持できるが,問題解決能力などに障害が残り,作業能率や作業維持力などに問題があるもの

Q高次脳機能障害では,いつごろ弁護士に相談すればよいですか?

A

 高次脳機能障害では,事故発生からなるべく早い段階で弁護士にご相談されるべきです。

 高次脳機能障害とは,脳損傷が原因で,意思疎通能力,問題解決能力,作業負荷に対する持続力・持久力,社会行動能力に障害が生じるものです。

 そのため,等級認定の審査では,脳損傷を示す画像所見があるか,また,上記4つの能力にどの程度障害が生じたかなども検討対象に含まれます。

 画像所見が不十分であればより抽出度の高い画像検査を受ける必要がありますし,また,障害の程度では,事故前後の被害者の振舞等の変化について,ご家族にしっかり記録していただく必要があります。

 このように,高次脳機能障害の事案では,受傷直後から取り組むべき事柄があるため,事故発生からなるべく早い段階で弁護士にご相談されるべきであるといえます。

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