死亡事故に関するQ&A
死亡事故に関するQ&A
Q死亡事故では誰が賠償請求できるのでしょうか。
A
死亡事故では,被害者本人の損害について,遺族が相続すると考えられています。
したがって,被害者本人の損害については,当該遺族が加害者に対して損害賠償請求することになります。
複数人が相続した場合には,賠償請求できるのは,自身の相続分に限られます。
被害者本人の損害には,治療費,入院付添費,休業損害,傷害慰謝料,死亡慰謝料,死亡逸失利益などが該当します。
そのほかに,遺族固有の損害があれば,その遺族が当該損害について賠償請求請求することができます。
遺族固有の損害には,例えば,葬儀費用や遺族固有の慰謝料などがあります。
Q葬儀費用を加害者に請求することはできますか?
A
交通事故で死亡事故が発生した場合,加害者に対して,火葬,お布施,花代などを含む葬儀費用を請求することができます。
他方,香典返しに要した費用は損害として認められていません。
請求権者については,諸説ありますが,現実に支出した親族の固有の損害として,その親族が請求権者になると考えることができます。
葬儀費用は定額化されており,例えば,損害賠償額算定基準(赤本)では150万円が目安とされています。
したがって,事案にもよりますが,実際に葬儀費用で150万円以上の支出があったとしても,賠償として認められるのは150万円の範囲とされることがあります。
なお,仏壇や墓碑建設の費用についても損害として認められますが,葬儀費用150万円とは別に認める考え方もあれば,葬儀費用と合わせて150万円の範囲内で認める考え方もあります。
Q死亡慰謝料は通常どれくらい認められるのでしょうか。
A
死亡した被害者の慰謝料は相続されます。
したがって,相続した遺族は,死亡慰謝料を賠償請求することができます。
死亡慰謝料額は,事案の公平性の観点等から,被害者の世帯における年齢,家族構成,地位を考慮して,目安が設けられています。
なお,これらの目安は,近親者慰謝料を含むとされています。
⑴ 損害賠償額算定基準(赤本)における目安
ア 一家の支柱 2800万円
イ 母親,配偶者 2500万円
ウ その他 2000万円~2500万円
⑵ 交通事故損害額算定基準(青本)における目安
ア 一家の支柱の場合 2700万円~3100万円
イ 一家の支柱に準じる場合 2400万円~2700万円
ウ その他の場合 2000万円~2500万円
上記目安における「一家の支柱」とは,被害者の世帯が,主として被害者の収入によって生計を維持している場合を指すとされています。
また,高齢者の場合には,やや低めの認定となることが多いと考えられています。
個別の事案において,事故態様が悪質であったり,加害者の事故後の行動が極めて悪質と評価できる場合には,増額事由として,上記目安を上回る死亡慰謝料額が認定される場合もあります。